名城公園の魅力とは?歴史・花・歩き方をフラワープラザ副所長に聞く

2025年にIGアリーナが誕生したことにより、都市型公園として新たな役割を担うことになった、名城公園。

実は名城公園は、時代と共に何度も大きくその役割が変わってきた場所。

そんな歴史や、公園で働く人の思いを知り、いつもとは異なる視点で公園を歩くと、また新たな魅力が発見できるかもしれない。

そこで今回は、リニューアルしていく名城公園を維持管理するという立場で見守ってきた「名城公園フラワープラザ」副所長 松尾慧樹さんにお話をうかがってみた。

目次

さまざまな人が集う場所になった名城公園

名城公園フラワープラザ 副所長 松尾慧樹さん
名城公園フラワープラザ 副所長 松尾慧樹さん

松尾さんが副所長に就任した2024年は園内のリニューアルが本格的になった時期。公園が変わっていく様子を目の当たりにしてきた方だ。その頃から毎日の日課としているのが朝昼の2回、園内をすみずみまで巡回すること。そこで出会う人々に声をかけることもあるという。

「毎朝ゴミ拾いの清掃ボランティアをしてくださる公園愛護会の方々は、向こうから声をかけてくれることも。公園の大切な役割なのでトイレの清掃スタッフに会った時も積極的に声をかけるようにしています。するとイベント時にトイレ利用者がかなり増えていることや、「落ちそうな木の枝があるよ」「こんな人がいたよ」など自分たちのいない時間帯の様子や見落としていたことを教えてもらうこともあります。」

IGアリーナが誕生したことで、大勢の人が集まる場所にもなったが、芝生広場や子ども向けの遊具、ランニングコースなどがあり、地域の人々の日常の憩いの場所でもある名城公園。さまざまな人がさまざまな過ごし方ができる場所となり、管理者としては一つの視点だけではなく、いろいろな利用者の立場から公園を視ていくことの大切さを日々感じているという。

名古屋城の庭から、市民の公園へ

名城公園はその歴史をたどると、名古屋城築城時にまで遡る。城北側にあった低湿地を活かし造営された庭園「下御深井御庭(したおふけおにわ)」が名城公園のルーツだという。その歴史にちなんで名付けられたのが「おふけ池」。この池のほとりを散策すると、わずかながら当時を偲ばせる風景がある。

「おふけ池の北側から名古屋城の天守閣を見る景色は、昔の庭園を思わせるような雰囲気が少し残っていると思います。園内で一番大きな白いユリの形をした遊具のある辺りは少し高くなっているので、そこからおふけ池越しに名古屋城を見るのがおすすめです。桜が満開になる時期は、池と桜、その向こうに見える天守閣が一緒に眺められ、とても風情ある景色になります。」

このおふけ池の桜は「領内桜」と呼ばれているが、これにも由来がある。「下御深井御庭」は明治時代になると埋め立てられて練兵場となり、戦後は公園として整備され野球場ができ、陸上自衛隊がここで観閲式(※)を行うようになる。その後昭和32年ごろから主要園路や花木園、おふけ池などができ、野球場が芝生広場に再整備されると、これを機に名城公園での観閲式は行われなくなる。

「記録によると、昭和49年10月に自衛隊創立24周年記念事業の一環として、また、長年名城公園を観閲式の会場として使用させてもらったお礼として、稲沢市平和町の領内川堤防にあったソメイヨシノ110本が、自衛隊によっておふけ池の周囲に移植されました。現在は、老木化によりその数は半分ほどとなってしまいましたが、それでも、春になるとおふけ池の周りを彩る桜はとても美しいです。」

※多数の部隊・装備を集結させ行われていた自衛隊による合同訓練、式典のこと

ユリの形をした遊具
ユリの形をした遊具(筆者撮影)
おふけ池越しの名古屋城
おふけ池越しの名古屋城(筆者撮影)

名城公園における「花」の役割

桜や紅葉、藤など、季節を教えてくれる木々のほかにも、名城公園には多くの花壇があり、さまざまな花や緑と出会うことができる。この花と緑の発信拠点となっているのが「フラワープラザ」だ。

「フラワープラザは、昭和63年に全国都市緑化フェアの第6回が名城公園で開催されたことをきっかけに、その記念施設として開館しました。花や緑にまつわる展示イベントを年間20回、講習会は50回ほど行っていて、ドリンクが楽しめるカフェも運営しています。」

フラワープラザの周囲にはさまざまな花壇があり、春はチューリップ、夏はヒマワリ、秋はコスモスが見どころ。ほかにも、花や植物のある暮らしの参考になるようにと作られたモデルガーデン、ハーブガーデン、バラの通路などがあり、散策しながら間近で花々が観られる庭となっている。

「花壇によって違いますが、植え替えは年間で2~3回程度行っています。苗や球根の数は年間でおよそ47,000株に。作業としても今まで植わっていた植物を抜き取り、土を耕し、整地して、それから新しい苗や球根を植えるので手間がかかります。さらに植える花の種類や配置、デザインを毎年少しずつ変えていて、植栽管理担当者のアイデアが感じられるので毎年の変化にも注目してみてほしいです。」

近年の温暖化、夏の酷暑の中で、そうやって苦労して植えた植物を枯らさないように管理する苦労も計り知れない。自動で水やりをできる設備もあるが、大半はスタッフが手作業で水やりをしているそうだ。地道な作業の積み重ねが美しく、心地よい公園を支えているが、そこにはこんな思いもあるという。

「花はすごく面白いなと思っていて、少し乱暴な言い方をすると、花は受粉を助けてくれる虫を引き寄せるためのもののはずなのに虫だけではなく、人間も花に引き寄せられている。地域や時代が違っても、花を見て「きれいだな」と感じる人はたくさんいる。そこが花の面白さですし、まだまだ色々な可能性を持っていると思っています。」

フラワープラザの南側「モデルガーデン」
フラワープラザの南側「モデルガーデン」(筆者撮影)
フラワープラザの南側「モデルガーデン」
フラワープラザの南側「モデルガーデン」(筆者撮影)

風車がなくなり、アリーナができた公園

花や緑で溢れる季節のガーデンと共に、名城公園のシンボルだったのが「オランダ風車」。2024年のリニューアルにより惜しまれながら風車とその周辺の水辺もすべて芝生広場として整備され、その奥に公園の自然と融和を図った木材のモチーフが印象的な「IGアリーナ」が誕生した。

「風車に代わる今の名城公園のシンボルの一つがIGアリーナではないかと思います。IGアリーナの建設に合わせて、園路が広くなり、芝生広場もさまざまな使い方ができる空間になりました。植栽帯の石垣も、ただ植物を植えるための場所ではなく、腰掛けて休めるようになり、園内のあちこちに新しい「居場所」ができています。IGアリーナができたことをきっかけに、また新しい名城公園の姿が形作られていると感じます。」

IGアリーナに行くまでの『待ち時間を過ごす場所』としても使われるようになった名城公園。これまでよりさらに規模の大きなイベントの会場として利用される機会も増えた。

「周辺の飲食店や施設にとっても、公園に人が来てくれることは大きなプラスだと思いますし、私たち管理する側としても、IGアリーナをきっかけにたくさんの方が名城公園を知って、利用していただけるのはありがたいことだと感じています。」

一方で、名城公園はあくまでも『公園』。IGアリーナに来る人だけではなく、普段から散歩をする地域の人や、子どもと遊びに来る人、ランニングをする人など、日常的に公園を利用する人もいる。

「イベントや観光などで新しく来ていただく方を受け入れながら、名城公園を日常の場所として利用してくださっている方にも、変わらず気持ちよく過ごしていただけるようにする。その両方をどうバランスよく実現していくかが、これからの私たち管理者に求められていることだと思っています。」

芝生広場越しに望むIGアリーナ
芝生広場越しに望むIGアリーナ(筆者撮影)
IGアリーナ前にある植栽帯
IGアリーナ前にある植栽帯(筆者撮影)

30分でも。何度来ても楽しめる歩き方

変化を続ける名城公園。IGアリーナを訪れる時など、初めて、または久しぶりに名城公園に来る人に、まずはここを訪れてほしいという場所をうかがってみた。

「30分くらい時間があれば、フラワープラザの南側にある『モデルガーデン』を見るのがおすすめです。撮影スポットとしてもおすすめで、季節を感じることができます。そこからフラワープラザに入って、館内の『サニールーム』もぜひ見ていただきたいです。観葉植物が並んだ空間にはベンチもあり、休憩しながら植物を楽しむことができます。」

そして1時間ぐらい時間があるなら、ぜひ芝生広場の周囲にある遊歩道を散策してほしいとのこと。

「普段忙しく生活していると、目的もなく公園を歩く機会は、意外と少ないのではないでしょうか。「ちょっと時間があるから歩いてみよう」くらいの気持ちで歩いていただくと、季節の花や木、鳥など、普段なら気づかなかったものを見つけられるかもしれません。」

冬の寒い朝に聞こえる野鳥の声、夕暮れの光を浴びる名古屋城。変わった形をした遊具に想像を膨らませたり、植栽の花々に季節の変化を感じたり。松尾さん自身も歩くたびに発見や気づきがあるという。

「地元の方ならば、ぜひカワセミを探してみてはいかがでしょうか。野鳥なので、行けば必ず会えるというわけではありませんが、池の周りなどを歩いていると、運が良ければ見つけることができます。」

さらにIGアリーナでのイベントの前後にもう少し時間があるのであれば、名城公園の中を歩いて、名古屋城や金シャチ横丁まで足を延ばして名城エリアを満喫することもできる。

「名城公園には、Googleマップ上で『天守閣撮影スポット』と呼ばれている場所があり、そこから金シャチ横丁の宗春ゾーンまで続く、全長約660メートルの藤棚があります。花が咲いている時期はもちろんきれいなのですが、咲いていない時期でも、藤棚の下は木漏れ日があって、歩いていてとても気持ちがいいです。ちょうどお腹もすいてくるはずですよ。」

さまざまな野鳥が飛来する名城公園
さまざまな野鳥が飛来する名城公園(筆者撮影)
お堀沿いに続く藤棚
お堀沿いに続く藤棚(筆者撮影)
天守閣撮影スポットから望む名古屋城
天守閣撮影スポットから望む名古屋城(筆者撮影)

名古屋城エリアの中で、名城公園が担うもの

名城公園フラワープラザ 副所長 松尾慧樹さん
名城公園フラワープラザ 副所長 松尾慧樹さん

IGアリーナと名古屋城・金シャチ横丁の間にある「つなぐ場所」として。名城公園は名古屋を訪れる観光客に向けた視点も必要になるだろう。これからどんな姿が求められていくのだろうか。

「IGアリーナができたことで、公園周辺の環境が大きく変わってきています。これからは名城公園だけで完結するのではなく、IGアリーナをはじめとした周辺の施設や、名古屋城、金シャチ横丁などとも、もう少しつながっていける公園になっていけたらと思っています。実際には、施設ごとに管理する主体が違い簡単には連携できない部分もありますが、利用される方から見れば、全部ひとつの「名城エリア」です。そういう見方が、これからもっと大切になってくるのではないかと思っています。」

バリアフリー化も進み、遊具が上手くつかめない人も遊べるインクルーシブ遊具なども設置されていて、より多様な人々がさまざまな目的で訪れることができるようになった名城公園。地域の方に親しまれながら、周辺施設ともつながり、名城エリア全体のにぎわいも創出する。そんな公園の未来の姿も思い浮かべることができた。

楽しみ方は自由自在。名城公園の可能性を、実際に訪れ、肌で体感して、広げてみてほしい。

おまけ:ひと休みに立ち寄れる「tonarino」

名城公園駅を出てすぐ、名城公園の入口にあり、にぎわいの拠点となっているのが2017年に開業したtonarino。公園のリニューアルにより植栽も整備され、さらに人が集いやすい場所になった。その見どころも教えてもらった。

「IGアリーナ利用者にとっても休憩や待ち合わせの時間を過ごせる便利な場所です。シャワールームやランニングスクールなどもあり、ランナーの皆さんの拠点にも。ぜひ立ち寄ってみてください。」

金シャチ横丁で立ち寄りたいお店

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義直ゾーン・宗春ゾーンのお店の一覧
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cafe diner POP OVER
名古屋城の東門近く、宗春ゾーンのカフェ
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名城公園フラワープラザ 副所長 松尾 慧樹さん
名城公園・名城公園フラワープラザ 指定管理者 岩間造園株式会社

名城公園フラワープラザ

副所長 松尾 慧樹

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