【名古屋めし】ひつまぶし備長で究極のうなぎ体験!職人技が光る伝統の味

名古屋めしのなかでも特に人気のグルメ「ひつまぶし」。
近年、ひつまぶしを提供する店舗が増える中、株式会社備長は33年の歴史を誇るひつまぶし専門店として全国12店舗を展開しています。
今回、株式会社備長が主催する「名古屋うなぎ大学」と呼ばれる体験型セミナーに参加し、うなぎ職人から伝授される「腹開き」「地焼き」「扇形串打ち」の技術と、700℃を超える備長炭が生み出す極上の味わいを体験してきました。
名古屋めしの代表格「ひつまぶし」の奥深さを五感で味わう体験を紹介します。
【名古屋めし】ひつまぶし備長で伝統の味を継ぐ鰻職人たち

今回訪れたのは、ひつまぶし専門店として全国展開する「株式会社 備長」の体験型セミナー「名古屋うなぎ大学」。
味噌カツや味噌煮込みうどんと並ぶ「名古屋めしの代表格」であるひつまぶしですが、うなぎの調理法や奥深さを体験できる機会はなかなかありません。
会場に足を踏み入れると、笑顔で迎えてくれたのは東京・丸ビル店で活躍する住野弘敏氏と、名古屋・大名古屋ビルヂング店で活躍する稲垣遼氏。
二人ともうなぎの焼き手として活躍しながら新人育成も担当する、まさに「うなぎのプロフェッショナル」です。
「今日は皆さんに、普段何となくイメージはつくけど実際やったことがないところを体験していただきます」と住野氏。
会社名の「備長」が名古屋流の鰻に欠かせない「備長炭」に由来していると知り、早くも興味が高まります。
「備長炭」へのこだわりは、お店のロゴに炭のオレンジ色が使われていることからも伺えます。

名古屋うなぎ大学がいよいよ開校!
全員起立して講師への挨拶から始まる様子に、日本の伝統文化を感じました。

あいさつの後は、座学からスタート。
4種類のうなぎの特徴と、ニホンウナギがマリアナ海溝の深海で産卵し、シラスウナギとなって黒潮に乗って日本に辿り着くという壮大な旅路に、思わず感嘆の声が漏れました。

【名古屋めし】ひつまぶし備長のサラブレッド職人が伝授する鰻の知識と技術
「実家が鰻屋で、鰻に関してはサラブレッドなんです」
そう自己紹介する稲垣氏の言葉に、参加者から笑みがこぼれます。
学生時代のあだ名は「うなぎ」、お弁当にはいつも鰻が入っていたというエピソードが会場を和ませてくれました。
生まれた時から鰻と共に生きてきた職人・稲垣氏。
その親しみやすい語り口で、専門的な知識もわかりやすく伝えてくれました。
中でも興味深かったのは、鰻と「土用の丑の日」の関係について。
「土用の丑の日に鰻を食べる習慣」は広く知られていますが、実は江戸時代、平賀源内が鰻屋に提案したのが始まり。
「夏バテしやすい土用の丑の日に鰻を食べよう!」と広めたことで、1年間の30〜40%の消費量を占める文化にまで定着。
鰻はビタミンA・E・D・B群を豊富に含み、見た目に反して血液をサラサラにする成分も持つという意外な魅力も教えてもらい、鰻の持つ栄養に対する知識が深まりました。
備長炭が生み出す名古屋流ひつまぶしの真髄

「名古屋の鰻は、関東や関西とはまったく違うんですよ」
という稲垣氏の言葉通り、名古屋めしとしてのひつまぶしには独自の調理法があります。
関東では背開きして白焼き→蒸し→本焼きというプロセスですが、名古屋では「腹開き」と「地焼き」という方法を採用。
腹から開いて中骨を取り、蒸さずに直接備長炭で焼き上げます。
「蒸さないから鰻本来の香りと風味が活きるんです」
確かに、東京の鰻料理では独特の香りがありますが、名古屋のひつまぶしではより鰻本来の旨味を感じます。
その秘密は備長炭にあると住野氏。
「輻射熱」とは、太陽の光のように空気や物質を介さずに直接伝わる熱のこと。
普通の熱が接触によって伝わるのに対し、「輻射熱」は目に見えない光線のように空間を移動します。
目の前で燃える備長炭は700℃から1000℃という驚異的な高温を維持し、「輻射熱」を放出。
備長炭から放出された「輻射熱」が空気や物質を介さずに直接鰻に伝わり、鰻の身を通して骨の奥まで届くため、小骨さえも溶かしてしまうというから驚きです。
輻射熱によって表面だけではなく、中まで均等に熱が入るから、あの絶妙な食感が生まれるとのこと。
七輪で焼くサンマが美味しいのと同じ原理だと聞いて、なるほどと納得しました。
いよいよ実演タイム。
エプロンと衛生帽を身につけ、清潔な調理場へ。

鰻の体表の構造から、皮と身の間にあるコラーゲン層の重要性まで丁寧な解説を受けながら、実際に鰻を捕まえます。
予想通り手が滑ってしまい「難しい!」の一言。
普段できない体験ができ参加してよかったと思わずにはいられませんでした。
鰻を捕まえたら、次は捌きの実演。
「骨に当たると音が鳴ります。これが聞こえないと、完全に身を切っていることになります」
20秒で捌く熟練の技を目の前で披露され、おもわず息を呑む迫力に手に汗握りました。
「実際に捌けるようになるまでどれくらいかかるんですか?」との質問に
「8年くらいですね。いや、一生かかります」と笑顔で語る職人たち。
「僕は一回骨を落とします」と住野氏、「私は骨を落としません」と稲垣氏。
「正解はないんです」と口を揃える二人から、職人としての哲学を感じずにはいられません。
目で見て、耳で音を聞き、手で感じる──そんな五感を駆使する繊細な技術の中にも、職人一人ひとりの個性がにじんでいることに心を打たれました。

「見てください、この扇形串打ちが名古屋流の特徴なんです」
備長の職人が鰻に串を差す様子は芸術的。
職人たちは約1分半で串打ちができるよう、日々練習しているとのこと。
扇形に串を打つことで一人でも持ちやすく、均一に焼き上げられるという工夫に感心しました。

串打ちの次はいよいよ焼きの工程。

皮の色や身の色を見極め、絶妙なタイミングでタレをつける職人技が光ります。
特製のタレに何度も鰻をつけ、備長炭の赤外線効果で余分な水分を飛ばしながら焼き上げる工程は、まさに職人技の結晶。
外はカリッと、中はふわっとした食感が生まれる瞬間を目撃できたのは貴重な体験でした。
【名古屋めし】至福のひつまぶしを楽しむ

完成した「ひつまぶし」は、まさに芸術品!
つややかな飴色に輝く鰻は、見るだけでも香ばしい匂いが鼻をくすぐり、食欲をそそります。
おひつに盛られた姿に、思わず写真を撮らずにはいられません。

ひつまぶしの醍醐味は、多様な食べ方にあります。
まずはそのままで。
続いて薬味(山椒、刻みのり、わさび)をかけて。
最後は出汁をかけてお茶漬けのように。
一つの料理で三度楽しめる名古屋めしの妙技に感動します。
備長の特製出汁とタレは、何度も火入れと熟成を重ねた秘伝の味。
代々受け継がれてきたタレの深みが鰻の旨味を一層引き立てています。
「どうですか?名古屋めしの真髄、伝わりましたか?」
職人たちと会話しながら食事を楽しむ時間は、ひつまぶしへの理解をさらに深めてくれました。
家族や友人へのお土産やテイクアウトの案内もあり、備長こだわりの特別なひつまぶしを持ち帰れるのは、うれしいポイントでした。
【名古屋めし】ひつまぶし備長で至高のうなぎを楽しもう
今回は、ひつまぶしの名店「備長」が主催する「名古屋うなぎ大学」に参加し、体験した内容を紹介しました。
- ●鰻の知識と文化: ニホンウナギの生態や、平賀源内に由来する土用の丑の文化など、座学で学ぶ鰻の魅力。
- ●名古屋流の特徴: 関東・関西とは一線を画す腹開きと地焼の独自の調理法と名古屋ならではの串打ち技術。
- ●備長炭の神髄: 700〜1000℃の高温から放出される「輻射熱」が鰻本来の香りと風味を引き出す秘密。
- ●匠の技と哲学: 職人が一生をかけて追求する鰻捌きの妙技と、職人それぞれの個性が光る伝統技術。
職人たちの熟練の技を目の前で見学し、解説を聞きながら完成したひつまぶしを味わう喜びは、単なる食事以上の文化体験といえるでしょう。
備長が追求する、名古屋めしならではの奥深い味わい。
「名古屋うなぎ大学」での体験は、その魅力を五感で感じ取ることができる、かけがえのない時間となりました。
【名古屋うなぎ大学】次回開催予定
6/26(木)18:00を予定しています。(7月以降は不定期開催)
お問い合わせ先:052-223-5777
食を通じて文化に触れたあとは、名古屋の街を満喫するのもおすすめです。
名古屋の夜は、美食と文化が融合する最高の時間。
名古屋城は閉門後もライトアップされ、幻想的な姿を楽しめます。
名古屋城周辺では、2025年10月にエスパシオナゴヤキャッスルが、7月にはIGアリーナがグランドオープン予定と、注目のスポットが続々登場。
イベントや観光で訪れた際は、名古屋城に隣接するグルメスポット【金シャチ横丁】で、備長のこだわりが詰まった「ひつまぶし」を堪能してみてはいかがでしょうか。
観光やイベントで疲れた体に、栄養満点の鰻は最高の活力剤。
名古屋の思い出とともに味わう備長のひつまぶしは、名古屋めしの本場の味を求める方に、ぜひ体験していただきたい至極のグルメです。
きっと、旅の思い出と一緒に、お腹も心も満たされる特別なひとときになりますよ。
【名古屋うなぎ大学】次回開催予定
6/26(木)18:00を予定しています。(7月以降は不定期開催)
お問い合わせ先:052-223-5777
金シャチ横丁について詳しくは公式サイトをご覧ください。